日本化薬グループは、2017年に「環境・健康・安全と品質に関する宣言」を見直し、「健康」を追加しました。従業員が心身ともに健康であることは、組織の活性化や生産性の向上にもつながるとともに、ステークホルダーの満足度を向上させるために必要不可欠なことです。業務中に取り扱うさまざまな化学物質に対する暴露防止だけでなく、メンタルヘルスケアや生活習慣改善を目指した活動を展開しています。
日本化薬グループの健康経営体制の中で、環境保安担当者委員会は環境安全推進部長が委員長となって招集する各事業場、グループ会社の環境保安部、環境保安担当者をメンバーとした委員会で、全社および各事業場、グループ会社のレスポンシブル・ケア活動について報告ならびに情報共有を行い、問題点や重要事項を議論します。安全衛生委員会は各事業場、グループ会社で開催され、労働安全衛生活動状況の確認と問題点を議論しています。
また、日本化薬と日本化薬健康保険組合が連携して協力し合いながら、従業員とその家族の健康維持、健康づくりを効果的かつ効率的に実行することを目的としてコラボヘルス連絡会を設置し、健康増進に関する情報交換や報告、審議等を行っています。
日本化薬グループの全従業員が「健康経営」の基本である「定期健康診断」を受診し、健康診断の後に面談が必要と産業医が判断した従業員に対して面談を行い、健康管理についての助言・指導をしています。
また、指定された化学物質を取り扱う従業員には特殊健康診断を実施しています。取り扱う化学物質の有害性データをデータベース化し、蓄積したデータの情報を基にリスクアセスメントを実施して、事故・健康被害を防止しています。さらに各事業場では、従業員の健康保持増進のため、「心とからだの健康づくり」であるTHP※を推進しています。従業員それぞれの生活習慣を見直し、継続的に計画的な健康づくりをすすめることで、より健康に生活できることを目標にしています。健康体力測定、健康管理コンクール、ウォークラリー、ハイキングなどを実施しています。
業務生産性の向上と付加価値創造の達成を両立させるためには、従業員が活き活きと働ける就業環境と心身の健康が不可欠です。
日本化薬では、2005年に社長名で「メンタルヘルスケア体制の導入宣言」を発信し、管理者への指導を徹底してきました。メンタルヘルスケアは、全従業員が、継続的に正しい知識・認識を得て、メンタル不調者の早期発見・予防に努めることが重要です。そこで「メンタル不調を予防することを第一に考える」取り組みを重点的に行っています。
具体的には、EAP※委託業者から講師を招き、2005年度にメンタルヘルス研修を開始、2006年度からは全従業員が受講できるように3年計画で実施しています。2021年度も引き続き新型コロナウイルス感染症への対策として集合教育を避け、e-ラーニングにより全従業員向けの新型コロナウィルス感染症などの影響による環境変化に対応するセルフケア研修を実施しています。
メンタル不調によって、休養を余儀なくされた方の職場復帰は「復職プログラム」を策定し、職場の上司(会社)、産業医、カウンセラーが連携し、再発予防を念頭においたスムーズな職場復帰を支援する体制を整えています。なお、2015年12月に施行された労働安全衛生法のストレスチェック制度への対応は、毎年継続して実施しています。
日本化薬は、今まで産業医の選任が必要のない事務所※の健康管理では、法定健診および日本化薬健康保険組合の成人病健診の受診後の産業医面談を各地域の拠点となる事務所で実施できていませんでした。そこで、2013年度に産業医の選任がされていない事務所への対応を検討し、本社産業医が出張し従業員との面談をすることにしました。
2014年からは、本社産業医が年1回全国の事務所の巡回を始めました。産業医面談の年間日程を決め、事務所だけでなくウェブ会議システムも活用して面談を実施しています。