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収益力向上と組織変革を着実に成し遂げ、
サステナブルな成長と企業価値向上を果たす
代表取締役社長
社長執行役員
涌元 厚宏
私は歴史小説が好きで、特に中国史の春秋・戦国時代、その後の秦王朝、漢王朝から三国鼎立に至る時代の人物の生き様に魅了されています。十八史略や三国志からは、激動の時代を生きた人々の知恵と行動を通して多くを学ぶことができます。中でも「臥薪嘗胆」で知られている呉王・夫差(ふさ)と越王・勾践(こうせん)の覇権争いにおいて、それぞれの王を補佐した伍子胥(ごししょ・呉の人)と范蠡(はんれい・越の人)の知力と交渉力の戦いで描かれる人間の本性は、大変興味深く、惹かれるエピソードの一つです。
政治と外交に優れた伍子胥は、范蠡の巧妙な策略により主君である夫差との関係を崩され、自害に追い込まれます。呉の発展に尽力した伍子胥は、主君の性格を見誤ったのです。その後間もなく、伍子胥を失った呉は滅んでしまいます。一方、越の勝利の立役者である范蠡は、越王勾践のもとを離れ、名を変えて商人となり、巨万の富を築きました。范蠡は、猜疑心の強い主君がいずれ自分を警戒し、「狡兎死して走狗烹られ飛鳥尽きて良弓蔵る」(兎が死ぬと猟犬 が煮られ、鳥が尽きると弓がしまわれる、不要なものは速やかに処分される例え)という状況になる前に出奔したとされています。
「人を見る眼」の冷徹さが命を救うほど重要であったことを痛感し、紀元前の中国より時代や国を越えて伝わる人々の「生き様」から、私たちのビジネスの世界にも通じる教訓を学ぶことができると思うのです。
さて、日本化薬グループの近況についてご報告いたします。2022年度から2025年度の4カ年中期바카라 추천計画KAYAKU Vision 2025(KV25)は、初年度こそ売上高・営業利益ともに計画を上回り順調な滑り出しでしたが、2023年度は、売上高は2,018億円と計画に比べて▲52億円の未達、営業利益については73億円と▲127億円の大きな未達となりました。売上高については、モビリティ&イメージング바카라 추천領域とライフサイエンス바카라 추천領域はおおむね順調に推移しましたが、半導体市況の落ち込みが影響し、ファインケミカルズ바카라 추천領域が大きく減収となりました。加えて営業利益には、すべてのセグメントにおける原料高騰による製造原価の上昇と、医薬바카라 추천(ライフサイエンス바카라 추천領域)の新薬候補へのライセンス料60億円という成長投資が影響しました。また、売上高・営業利益に加え経営指標として掲げたROEは目標8%のところ1.6%、全社ROICは目標10%のところ1.5%と低迷しました。これらは主に営業利益の未達によるものです。
KV25の残りの期間において、売上高は2024年度の2,100億円から最終年度の2025年度には2,300億円、営業利益は2024年度の125億円から2025年度には265億円を目指す計画です。現状からの差を鑑みるに、2025年度の利益目標達成には相当の努力が必要であり、目標数値への到達は1年程度後ろ倒しになると見込んでいます。
KV25では、しばらく低下傾向であった営業利益率の改善を経営課題として掲げ、最終年度の目標はその課題を解決する途上の姿として定めました。しかし、中計2年目となる2023年度の時点でこのような状況となり、ステークホルダーのみなさまには大変なご心配をおかけしてしまったことをお詫び申し上げます。
幸いなことに、半導体市況は2024年度から回復傾向にあり、自動車生産も引き続き回復が見込まれています。ファインケミカルズ바카라 추천領域においては、半導体向けエポキシ樹脂を遅滞なく提供するとともに、関連製品の바카라 추천機会を幅広く探ってまいります。モビリティ&イメージング바카라 추천領域については、自動車安全部品に加え、ヘッドアップディスプレイ向け遮光板の伸長に注力し、可能な限り利益を積み上げるように努めてまいります。
本書内の業績の記載・言及は2024年3月期の決算説明資料で公表した実績・見通しに基づいています
現在※1、当社のPBRは約0.8付近で推移しており、株式市場からは割安との評価をいただいています。複数の바카라 추천領域および製品群の位置づけや将来性が分かりづらいというご意見もいただいておりますので、株主・投資家のみなさまとの対話を継続しながら、ご納得いただける分かりやすい当社グループの成長ストーリーをお示しし、安定的にPBR1倍以上を維持できるよう努めていきたいと考えています。
これまで、東証からの「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」要請に応じ、「収益力の強化」「資本効率の向上」を注力する課題として、決算説明会等を通じてご説明申し上げてまいりました。収益力の強化としては、各바카라 추천領域において長期的に市場の成長が見込まれる製品群を伸ばしていくこと、継続的な新製品の上市と育成を計画していること、収益性の改善が必要な바카라 추천の再生や取り扱い等について、当社の바카라 추천ポートフォリオとして明確にしました。このメッセージの中でも後ほど改めて言及いたします。
資本効率の向上としては、さまざまな施策を実施していきます。これまで、ROE目標は바카라 추천活動による増益をもって達成したいとご説明していましたが、今後は、経済動向・바카라 추천環境を考慮しつつ自己株式取得等の資本政策も合わせて総合的に改善を図っていきます。全社ROICについては、2024年度からの利益改善に伴い上昇に転じる見込みではありますが、目標に向けては未だ十分ではありません。KV25期間中に現金同等物を450億円以下とする縮減を目指すほか、바카라 추천ごとのROICモニタリングおよび棚卸資産・売掛債権の圧縮や、ROICツリーを活用した業務単位の対策への落とし込み等を実施して、全社一丸となって向上を目指していきます。さらに、政策保有株式は、KV25期間中に純資産の10%未満への縮減を目指していきます。
また、株主のみなさまへの還元を重視し、中期바카라 추천計画開始時の還元方針や、計画中に具体化したポリシーを公表しています。中長期的な配当性向は40%以上としており、KV25の期間中は、2023年度に増配した一株当たり年間45円以上となる配当を維持していきます。さらに、自己資本コントロールを意識した還元政策の一環として、2024年度は30億円の自己株式取得を実施しました。KV25以降も消却を含め継続的に自己株式取得を検討していく考えです。
今後とも引き続き、みなさまからのご意見にスピード感を持って的確に対処し、収益強化、資本効率向上の方針に沿った取り組みを積極的に進め、有用で分かりやすい会社情報の拡充に努めてまいります。
2023年度は、半導体不況や原料高騰、市況の影響が大きい一年でしたが、これからの日本化薬グループは、このような市況の影響をダイレクトに受けにくい、レジリエンスの高い企業を目指していきます。不況の影響を受けたファインケミカルズ바카라 추천領域を例に挙げれば、機能性材料바카라 추천の主力製品である半導体向けエポキシ樹脂に頼り続けるだけでは状況の改善は難しいと考えられます。直近のニーズに対応するだけでなくマーケティングを重視し、半導体向けの将来にわたる幅広い要望に応えるラインアップの拡充など、市況に左右されにくい바카라 추천運営の工夫が必要です。そのためには、たとえ小型であっても新製品を間断なく上市し、既存ビジネスと連携する新しい바카라 추천機会を増やすことが重要です。新しいことにどんどんチャレンジする社風を醸成することが、当社にとって今、最も重要な課題であると考えています。
当社は過去に、産業用火薬바카라 추천をセイフティシステムズ(自動車安全部品)바카라 추천に転換し、スピードや品質などについてサプライヤーとしてさまざまな面で高い水準が求められる産業に参入しました。かつて私がセイフティシステムズの営業職だったころ、お客様から「日本化薬さんは、のんびりしたいい会社ですね」と評されたことが何度もありました。これは、自分たちが仕事の進捗を測る時計のスピードが自動車産業のそれと比べてあまりにゆっくりで、そのような仕事の進め方で、この先生き残っていけるのかという叱咤と皮肉が込められた評価でした。とても有難い忠告と感謝するとともに、何とか早く自動車産業のスピード感を企業組織として体得せねばと一生懸命に改革に取り組みました。その結果、セイフティシステムズ바카라 추천全体の意識を大きく変えることができ、お客様からやっと認めてもらえるようになったという実感があります。
社長就任後は、「ムリ・ムダ・ムラ」を改善する全社的な意識改革活動を「A3活動」と銘打ち、強力に推進しています。また、セグメント再編を通じた組織の活性化、株主・投資家との対話や資本市場への分かりやすい情報提供、サステナビリティ課題への適切な対応等、日本化薬のより良い変化を推進し、一日も早く「のんびりした」ではなく「活き活きとした」と評価される「いい会社」となるよう努めています。
日本化薬グループの連結売上高である約2,000億円は、数億から数十億円を売り上げる製品・製品群が集まって成り立っています。大手企業と競合しにくい「すきま」の市場を見つけて、「技術の融合とニッチ戦略」を基本戦略として拡げることによって成長してまいりました。今後も変化するニーズに柔軟に適応し、世の中に必要とされる企業として生き残っていきたいと考えています。
しかし、近年の当社グループを振り返ると、かつて産業用火薬から自動車安全部品が、染料から偏光板等の光学フィルムが生み出されたような、新しい「技術の融合とニッチ戦略」が生まれづらくなっているように感じられます。あえて言い換えれば、現行製品を各바카라 추천の責任範囲内で淡々と提供することに終始しているとも言えます。このような状態が続けば、人や組織が硬直化し、せっかくの私たちの強みが発揮できません。そこで、20年以上続いた4바카라 추천本部制から、製品群・바카라 추천同士のシナジーを期待できる新しい3바카라 추천領域へと、2023年6月にセグメント再編を実施しました。
モビリティ&イメージング바카라 추천領域は、長期的に自動車安全部品の伸長を見込むセイフティシステムズ바카라 추천に、車載向けの染料系偏光板等を扱うポラテクノ바카라 추천が加わりました。自動車の電動化や将来の自動運転の普及を見据えながら、搭載される新しいディスプレイデバイスの情報をいち早く入手し、染料系偏光板の新しい用途開拓や、専門的な光学技術を生かした部材の提案を行っていきます。また、自動車安全部品製造で培った効率的な生産方法や原価低減のノウハウを、ポラテクノ製品の競争力向上に役立てることによって、収益性の改善につなげていきます。
ファインケミカルズ바카라 추천領域は、機能性材料바카라 추천、色素材料바카라 추천、触媒바카라 추천で構成されます。機能性材料では主力となる半導体向けエポキシ樹脂とともに、半導体用クリーナー・半導体製造用装置と合わせた営業・販売戦略を進めます。色素材料では、伸長が期待されるデジタル印刷用の産業用インクジェットインクに注力し、プリンター・印刷ヘッドメーカーとの三位一体の開発体制で拡大に取り組みます。触媒は、アクリル酸・メタクリル酸製造用の外販というニッチ領域での競争力を磨きながら、新しい水素製造用触媒の開発にいち早く取り組みます。本바카라 추천領域の強みである顧客密着型の営業に加えて、マーケティングの視野を拡げ、바카라 추천の強靭化に努めていきます。
ライフサイエンス바카라 추천領域に所属する医薬바카라 추천とアグロ바카라 추천は、比較的市況の影響を受けにくいものの、新薬の開発に長期間を要するという共通の特徴があります。医薬바카라 추천では、毎年の薬価改定の影響を受けるジェネリック医薬品やバイオシミラーを主力とする体制から、導入や自社創薬も見据えて、収益性の高い新薬を加えた体制へと転換中です。アグロ바카라 추천では収益性向上のため、2018年に上市したフロメトキンに続く新しい薬効成分の開発を目指して、創薬におけるDXや知的財産戦略の共有等を通じて、効果的・効率的な研究・開発に努めていきます。
テクノロジー統括は、従来の研究開発本部と生産技術本部を統括して設立された新しい組織です。全社的な研究開発の推進や、生産拠点のスマートファクトリー化、研究・生産DX等を推進します。また、「環境エネルギー」分野において、当社グループの知見を結集した新製品・新事業を創出するミッションを担います。日本化薬グループが大きく、かつ確実に成長するために、全社的な바카라 추천を担う重要な組織です。
東証の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」要請に応え、新しい3바카라 추천領域において各製品群がどのような位置づけかを示すために、2024年5月に日本化薬グループの바카라 추천ポートフォリオを公表しました。
ポートフォリオでは4象限で製品群を分類しており、経営資源を集中する「重点바카라 추천」には半導体関連製品(FC)やインフレータ(MI)を、「新規/将来性바카라 추천」としてはヘッドアップディスプレイ向け偏光板(MI)や水素製造用触媒(FC)が位置づけられています。「基盤바카라 추천」は、コンシューマインクジェット用色素(FC)やジェネリック抗がん薬(LS)が該当し、収益の現状維持と管理リソースの最小化によってキャッシュ創出の最大化に努める領域です。
最後の「収益力改善」바카라 추천の扱いは、当社グループの特徴が最も顕著に表れるところかもしれません。ここに分類にされた製品群は、いきなり切り捨てるのではなく、新しい바카라 추천領域内でのシナジーや社外との協業も含めて、「技術の融合」や用途開拓による再生可能性について、一定の期間をかけて徹底的に探ります。このようなプロセスを経て再生した製品群としては、コモディティとの競争を避けて品質重視の用途に活路を見出した「半導体向けエポキシ樹脂」、当社の二色性染料と有沢製作所の加工技術を組み合わせて生まれた「染料系偏光板」、産業用火薬が付加価値の高い製品へと変化した「自動車安全部品」など、重点바카라 추천・基盤바카라 추천として再生したさまざまな実例があります。このように、「収益力改善」바카라 추천の製品群は、当社の「技術の融合とニッチ戦略」を発揮する源泉としての側面を持っています。
しかし、そうした検討の末に次の道が見出せない製品群に限っては、順次撤退を判断することは言うまでもありません。直近では、2023年度におけるアグロ바카라 추천の一部製品等、最終的に「収益力改善」にカテゴライズされる製品群は、ポートフォリオを大きく占有しないよう、売上高構成比で2%以下に整理・調整していきます。
KV25期間には、「新事業・新製品の創出」「気候変動対応」「DX」「仕事改革」「働き方改革」といった企業価値向上のための5つの全社重点課題に、組織横断的プロジェクトとして集中して取り組んでいます。とりわけ、利益創出の源となる付加価値の高い「바카라 추천」は極めて重要です。
当社グループは近年まで、「色素の性質を利用する太陽電池」や「ドラッグデリバリーシステム」のように、革新的で大きなポテンシャルを秘めた開発テーマをいくつか手掛けてきました。しかし最近では、「ドローン用安全部品」といった限られたテーマ以外に、会社を挙げて注力する研究・開発テーマが減少しています。これは、かつて注力していたテーマが中止せざるを得ない手痛い経験が続き、新しい挑戦に消極的になっていることが大きな原因と感じられます。바카라 추천体制の硬直化と同様に、「技術の融合とニッチ戦略」を体現する研究・開発が萎縮してしまっては、次世代の바카라 추천を担うテーマが枯渇し、当社が今後も生き残ることは非常に難しくなると考えられます。
研究・開発の方法も時代とともに移り変わっています。一つの極めて優れた発明だけに頼るのではなく、社内外を含めた総合的なチーム力の発揮や、マーケティング・知的財産戦略を組織的に進めることが鍵とされています。「新바카라 추천・新製品の創出」のプロジェクトでは、これまで疎かになっていた部分を反省し、先端的な感覚を持ちながら地に足のついた研究・開発を進めるべく、テクノロジー統括を中心にさまざまな活動を進めています。
例えば、産官学のイノベーターが集うコミュニティへの駐在や、ピッチイベント・スタートアップ個別面談の実施、組織横断的な新바카라 추천・新製品企画担当会議の定期開催、ベンチャーキャピタルへの出資等を通じて、新しいテーマの探索を積極的に進めています。これを継続した結果、テクノロジー統括で重点的に取り組む「環境エネルギー」の分野において、ファインケミカルズ바카라 추천領域の技術を活用したテーマを複数手掛けられるようになりました。
具体的には、金属空気電池や燃料電池の電極に利用できる有機触媒を開発するAZUL Energy社や、バイオ原料からプロピレンを製造する触媒技術を持つiPEACE223社と協力して、それぞれ製品化を目指すテーマがスタートしました。また、水素エネルギー社会の実現を目指す東京工業大学を中心とするコンソーシアムに参加し、当社の技術を生かしたアニオン交換膜の開発によって、水電解システムの実現に貢献していきます。
今後は、モビリティ&イメージング바카라 추천領域やライフサイエンス바카라 추천領域の知見も活用し、特徴を生かした新しいテーマの創出を続けていきたいと考えています。
現在、人材の価値を最大限に生かして企業価値を高める人的資本経営が注目されています。「人に支えられて初めて企業は成り立つ」という点は、誰もが納得するところだと思いますが、それでは人材の価値、人的資本の本質とは何かと問われると、答えは人や立場によって異なるかもしれません。春秋・戦国時代における人的資本活用であった回君・食客・行人も、今の時代には資本過多としてお叱りを受けることになるでしょう。
日本化薬グループに所属し、将来の会社の姿を形作る役割にいる今、当社にとっての人的資本とは、従業員一人ひとりを中心とした人間関係であると捉えています。専門的な個々のスキルや知識は無論重要ですが、それぞれの立場や個性・強みを生かして社内外で良好な人間関係を拡げることで、所属する組織の生産性が高められて、その結果として会社組織が強靭になると考えています。
例えば、入社当時に経験した医薬品の営業では、担当病院の医師、薬剤師、経営者など各ステークホルダーに細やかに気を配り、良好な関係を構築することが成果を上げるために重要でした。セイフティシステムズ바카라 추천に所属していた時も、担当者の営業センスや交渉力によるお客様との良好な関係維持は、少なからず成果に影響していたと思います。現在の会社を代表する立場においても、示唆をいただけるステークホルダーや従業員との良好な関係なくしては、変化の促進や改革を進めることはできません。当社グループの人的資本とは、従業員一人ひとりの資質と各々が持つ関係性を含めて、いかに企業の活動に貢献できるかという視点で捉えるべきと考えています。
2023年度の取締役会の実効性評価では、重点課題として「人的資本の活用」が取り上げられ、当社として改めて人材育成の方針が定められました。その方針では、会社が求める人材像として、積極的な「自律型」であり「チャレンジ」精神に溢れ、「グローバル」かつ柔軟な価値観を持つという姿を示しています。2024年度の実効性評価においても、人的資本の活用は重要課題として採択されており、引き続き方針に沿う実践的な施策が計画されています。
日本化薬グループの人材戦略においても、働きやすさ、働き甲斐の伴う環境をしっかり整備するという基本的な部分は、一般的な考え方と変わりありません。ダイバーシティの推進では、女性活躍の取り組みの一環として、2024年8月に女性活躍推進法に基づく行動計画のキックオフイベント「KAYAKU・ZenKatsu※2」を半日間にわたり大々的に開催し、「女性管理職を増やし、その活躍の場をさらに拡げたい」というイベントの趣旨の実現に責任を負う一人として、私も参加させていただきました。
また、モビリティ&イメージング바카라 추천領域やファインケミカルズ바카라 추천領域などで、海外売上が大きな割合を占める当社グループにとって、グローバル人材の育成・充実は喫緊の課題といえます。海外志向性の強い社員のリストアップ、新卒・キャリア・現地採用による強化、英会話・海外業務教育やOJT等の複数の施策を組み合わせることで、海外ビジネスの推進力向上に努めています。
挑戦できる風土醸成には、アイデアやモチベーションを引き出す忌憚のない議論が日常的に行える環境が必要であり、ハラスメントの発生は企業価値向上の妨げでしかありません。コンプライアンスアンケート調査や、eラーニング等を活用したコンプライアンス教育を毎年実施して、心理的安全性の確保と理解を促進しています。
以上のような取り組みを継続するほか、働き甲斐を引き出す人事制度改革や、本人の意思を反映した適材適所の取り組み、コスト・ROIC改善意識の定着等の施策に注力して、「自律型」「チャレンジ」「グローバル」をキーワードに、良好な周囲との関係性を築くことのできる人材の育成に努めていきます。
当社はサステナブル経営を推進する企業として、「最良の製品を不断の進歩と良心の結合により社会に提供し続けること」を企業ビジョンとして掲げてまいりました。このKAYAKU spiritに基づき、私たちは存在感をもって、永続的に環境、社会、すべてのステークホルダーに幸せや喜びを提供できる会社でありたいと願っています。
現中期바카라 추천計画KV25においても、サステナブル経営の基本方針を重視し、持続可能な社会の実現に向けて、環境・社会的価値と経済的価値の両立を追求し続けていきます。人材活用・知的財産の強化・環境対応等への投資は바카라 추천への投資と同様に、長期的な成長と価値創造につながる戦略的な投資であり、これからの競争力の向上に不可欠です。今後も、コーポレートガバナンスやコンプライアンスといった根本となる基盤を疎かにせず、サステナブル経営を着実に実践し、KAYAKU spiritの具現化に邁進していく所存です。
これまで私たちは、株主・投資家をはじめとするステークホルダーのみなさまからさまざまなご助言をいただきながら、会社の方針への反映や情報開示の拡充に努めてまいりました。まだまだ不十分な点も多々あるかと存じますが、私たち日本化薬グループは建設的な対話を重視し、一歩一歩確実に、さまざまな経営課題の改善を推進していきます。そして、みなさまのご期待に十二分に応えることのできる、スピード感のあるレジリエントな企業へと変化し、企業価値の向上に努めてまいります。ステークホルダーのみなさまにおかれましては、今後とも忌憚のないご意見を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
2024年10月1日
代表取締役社長
Nippon Kayaku Group統合報告書2024の印刷版は、環境に優しいデジタルインクジェット印刷を使って制作されています。
詳細は、本紙P.60のファインケミカルズ바카라 추천領域トピックス「成⻑分野への注力―産業用インクジェットインクの拡大」をご覧ください。